「それでは、壁に向かってする腕立て伏せで、劇的な効果があった人がいるのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。ちょうどその頃、毎晩通ったパブに、長崎生まれの美人のピアニストがいたのですが、腱鞘炎で悩んでいました。」

「腱鞘炎では、ピアノを弾くのも大変でしょうね」と町会長。

「おっしゃる通りです。『鍼治療をすると楽になるのだけど、3日もすると元に戻ってしまう』と言っていました。」

「それでは、3日おきぐらいに鍼治療に行かなければならないということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。『週2回、鍼治療に通っている』と言っていました。」

「それは大変ですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。『痛みがひどい日は、お酒を飲んで、痛みをごまかしながら、ピアノを弾いている』という話でした。」

「その美人のピアニストに、壁に向かってする腕立て伏せを教えたのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「効果があったのですか」と町会長。

「1週間ほどしてから効果を聞くと、『痛みが取れない』という返事が返ってきました。」

「やはり、職業病には効かないのですね」と町会長。

「僕は必ず治るという確信がありました。しかし、腱鞘炎がひどいのと、ピアノを弾く練習を毎日するので、治らないのだろうと推定していました。」

「渡辺さんの足と同じ状態ということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。まず、腕立て伏せの仕方からチェックしました。」

「『体重をかけないように、壁に向かって腕立て伏せをできる限りゆっくりする』のが、ポイントでしたね」と町会長。

「おっしゃる通りです。一応、最初に、そう説明したのですが、もしかして、自己流の腕立て伏せになってしまっているのではないかと思って、『腕立て伏せをしているときに、体重をかけて、速いスピードでやっているのではないですか』と聞いてみました。」

「教えた通り、やっていたのですか」と町会長。

「『その通りです』と言う返事が返ってきました。」

「体重をかけて、速いスピードでやっていたのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。ピアニストというのは、普通の人間とは違うのです。英会話を教えてみると、家で普通の人の10倍くらいは練習してきます。しかし、本人は、勉強が足りないと思っているのです。」

「なるほど。それでは、壁に向かってする腕立て伏せを、全力でやってしまったのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。そこで、もう一度原理を分かりやすく説明し、『体重をかけないで、ゆっくりやるように』にと指導しました。」

「結果は、どうだったのですか」と町会長。

2021/6/18

<水道後記20>
『水道後記19』で床下点検口を作ったことを書いた。その続きをすぐ書くつもりだったが、他の話を書くうちに1年以上たってしまった。

自分で言うのもなんだが、床下点検口はプロが作ったように上手にできた。ラッキーだったのは、切り抜いた床板が問題なく点検口の蓋として使えたことだ。そのため点検口がキッチンの床にあることに違和感がなかった。どう見ても、プロが作ったように見えた。<続く>

2024/6/5